予防医学とは

現在、日本における病的死亡原因の多くは、癌、心疾患、脳血管疾患などの生活習慣病でしめられています。また一方では、心(精神面)の不調が原因となる心身の病が非常に増えてきました。
 そして、これらの生活習慣病や心身の不調や病には、高度に進んだ医学においても今だ根本的な療法は確立されていません。ですから、これらの病気や不調をさけるには、日頃からの予防が大切です。
 予防医学とは、狭義には、病気を未然に防ぐ学問といえます。食生活を初めとする、生活習慣を正し、良質なイメージを心に持ち、病や心身の不調に抵抗できる身体を作ることが、これにあたります。
 病気になったら治すという、治療医学に対して、病気にならないように予防するのが『予防医学』です。
 また一方で、病気を予防するだけでなく、より広い意味で、傷害の防止、寿命の延長、身体的・精神的健康の増進も予防医学の一環と考えられています。
 つまり病気の予防だけでなく、病気の進展を抑え遅らせることも、さらには、再発を防止することも予防であるとされています。それに基づき、予防医学は次のように分類されます。

予防医学の分類
第一次予防

1.健康増進 :社会全体の適切な生活環境の提供や休養、レクリエーション、健康教育の実施
2.疾病予防 :感染症対策や生活習慣病対策の実施

 いわゆる健康な時期に、栄養、心理(イメージ)、運動、休養など生活習慣の改善や生活環境の改善をはかり私達人間が生得的に持つ自然治癒力(免疫力)を増幅させるとともに、健康教育や予防接種などによる疾病の発生予防や事故による傷害の発生を防止することです。

第二次予防

1.早期発見 :病や性行為感染症などの早期発見
2.適切な治療 :早期治療、疾病の進行阻止、合併症の予防、後遺症の軽減

 不幸にして発生した疾病や傷害を早期に発見し、治療、保健指導などの対策を行い、疾病や傷害の重症化を防ぐことです。

第三次予防

1.リハビリテーション :後遺症の予防対策、社会復帰対策、再発防止対策の実施

 治療の過程における保健指導やリハビリテーション等による心身の機能回復及び、QOL(Quality Of Life=生活の質)に配慮された、再発防止対策や社会復帰対策を講じることです。

これからの予防医学
 これらのことを実践するには、人間科学(保健学、栄養学、看護学、教育学、心理学、認知科学(イメージ療法学))を主体とする多くの分野での研究が必要です。
 特に、現代社会にみられる様々な健康問題に対応すべく、また充実した予防医学を展開する為には、各分野の連携が重要です。
 なかでも、イメージ療法学や栄養学との連携比重を高めるべきでしょう。というのも、これまでの予防医学は、治療医学と密接な関連性をもつものに限られていました。
 特に日本では、一次予防、二次予防が公的な保健活動として、学校や地域社会を通じて実践され、多くの健康不安の解消に成果を収めてきました。
 しかしその反面、医療の現場では、治療医学第一主義的考えが主流で、病気になったら治療することだけが目的化され、予防医学を軽んじる傾向がみられます。
 食生活の欧米化や生活環境の複雑さが生み出すストレス過剰の社会に加え、高齢化社会の到来、薬剤依存の社会、環境汚染の拡大、癌、心臓病、アレルギーや精神不安の急増など、現代社会は国民の健康を蝕む要因が非常に増加し、健康不安を増幅させています。
 このような状況の中、私達個人だけでなく、医療の現場での予防医学の実践が急務となっています。
 いうまでもなく、健康管理は、一義的には自己責任です。ですから、国民一人一人が予防医学的考えを実践することが重要でしょう。
 というのも、今後ますます社会生活が複雑化し、健康維持、増進、あるいは治療後の予後などについて、個人の責任においての対応が強く求められるからです。つまり自らの健康は自ら守るという、セルフケアライフの実践が強く求められています。
 このような状況の中、時代は否応なく、治療医学一辺倒から、予防医学へと舵をきりました。この現象は、日本だけでなく、世界の趨勢となっています。特に欧米では顕著にみられます。

予防医学の要は何
 セルフケアライフを実践する上で、予防医学的考えと、知識と技術の習得が必要です。
 近代(西洋)医学は、解剖学を中心に発展した治療主体の学問です。つまり薬剤や手術を中心としたもので、急性症や感染症などの治療に優れています。つまり二次予防の病気の早期発見と治療に優れています。
 一方、予防医学に代表されるものは、その人の自然治癒力(免疫力)を高め生命力を強化するに有用なものです。また日常のストレスを緩和させ、恒常性を保ち、より健康で快適な日々を送る上で有用なものです。さらには個々の症状に対し、西洋医学と相補(互いに補う)に作用する技術や方法です。
 ところが現在の日本では、様々な健康情報があふれていて、何が自分の健康に良く、必要なものは何かを吟味、選択することが非常に難しくなっています。そんな中、世界中の研究者や専門家の間で、栄養とイメージが健康にもたらす影響についての研究が進められ、生活習慣病をはじめとする多くの疾病に、栄養の乱れと脳内イメージが深く関わっていることがわかってきました。
 東洋では昔から、『医食同源』、すなわち日頃からバランスの取れたおいしい食事を取る事で病気を予防(治療)しようとする考え方があります。また諺に『病は気から』ともいわれます。
 つまり、食とイメージが健康を考える上で、非常に重要で、生活の基本といえるものです。
 重ねて言えば、栄養のバランスがとれた食生活や、心を和ませる生活を心がけることが心身の不調や病の予防に有効であり、同時に病気の再発を防ぐ上でも重要であることが医学会でも注目されはじめています。
 つまり予防医学の要は、不良な食生活やストレス過剰な生活習慣の改善にあるといえるでしょう。
 では食生活の乱れ、過剰なストレスなどによる生活習慣の乱れ、これらは一体、私達の身体に何をもたらし、病気を引き起こすのでしょうか。
 ハンス・セリエが唱えたストレス学説を要約すれば過剰なストレスは生体のホメオスタシス(恒常性)を狂わせ、私達人間が生得的にもつ自然治癒力(免疫力)を低下させ、疾病に対する抵抗力を弱め老化を早めます。
 ですから、私達人間はこのストレス作用を弱める方法を工夫して講じなければならないのです。そしてそのひとつの方法がバランスの取れた高濃度の栄養を取る事です。
 ところで近年、世界的に不安を掻き立てている鳥インフルエンザは、いまのところヒトからヒトへ感染することはありません。しかし、世界の学者たちは、鳥インフルエンザウイルスが、ヒトからヒトへ感染するウイルスに変異をするのはいつ起こってもおかしくないと指摘しています。
 そして、その様なことが起こった場合、世界的な死者は数百万人から数千万人に上ると警鐘を鳴らしています。
 ところが私達人間にはウイルスや細菌に感染する人と感染しない人、あるいは感染しても発症する人と発症しない人、さらに発症しても症状が重篤な人と軽い人がいます。どうしてこのようなことが起こるのかというと、それは私達人間がもつ、自然治癒力(免疫力)の差なのです。
 そしてこの自然治癒力(免疫力)は、ガンをはじめあらゆる病の予防や治癒、さらには若々しさを保つ上で非常に重要です。
 そして先にも述べたようにこの自然治癒力(免疫力)を高めるに非常に役立つものが、バランスの取れた栄養の摂取であり、良質なイメージを心に持つことなのです。
 ところが近年の日本における食生活の乱れや過剰なストレスなどによる生活習慣の悪化が、私達が本来持っている、この自然治癒力(免疫力)を低下あるいは、変調させ心身の不調や病を引き起こしたり、病の再発防止の妨げになっています。
 ですから私達個人が、自分の健康によいもの、必要なもの、つまり私達人間が生得的にもっている自然治癒力(免疫力)の強化及び調整するものを吟味、選択する知識と技術をもつことが重要なのです。
 本会では、私達人間が生得的にもっている自然治癒力(免疫力)を増強させるに必要な知識、方法、技術を広く人類に知らしめ、実践していただくことを目的に活動しています。